裏銀座~槍穂縦走(その2)

4日目
3時に起床。4時45分に出発。しばらくは、槍ヶ岳を背中に、左手に表銀座、右手に笠ヶ岳、前方に穂高連峰を歩く。うーん、至福の時。

後ろを振り返ると。朝焼けに槍のシルエットが。

南岳に近づくにつれてだんだんガスってきて、大キレットに取り掛かる頃には完全に視界がなくなる。大キレットを1/5くらい通過したあたりで、突然ガスが切れ始めた。目の前に広がる壮大な光景に鳥肌が立った。ここまでの疲れを忘れさせてくれる。



大キレットの終盤に差し掛かるあたりで、またガスってしまい、残念ながら北穂からの眺望はなし。今回の山行は、ここぞというときの眺望に恵まれないな。。
北穂から涸沢岳に向かう途中で、雲行きがあやしくなってくる。11時半過ぎに穂高岳山荘に着いて、テントを張り終わった頃に雨が降り始める。そして、すぐに強風と雷を伴った大荒れの天気に変わる。ぎりぎりセーフ。なんとか濡れずに済んだ。私はテントで昼寝をしていたが、その後も大荒れの中続々と登山者がやってきた。
結局、大荒れの天気は数時間続いた。嵐のような天気が過ぎた後は、目の前に広がる前穂の北尾根やジャンダルムがきれいだった。夜、遠くの街の花火がはるか彼方に見えた。方角的に大町あたりかな。

テントから。目の前に前穂の北尾根。

雨が上がると、夕日がきれいだ。


今回の山行は4泊5日で予備日を1日とっていたため、1日予備日があったが、最終日は多少の天候が崩れても下山しようと、前日の晩に決めていた。前の晩には、次のように考えていた。
①晴天ならば予定通りジャンダルム、西穂経由で上高地に下山。
②多少の雨程度なら吊尾根から前穂に行って、岳沢から上高地に下山。
③荒れ気味の天気なら、天候の回復を待って、涸沢経由で上高地に下山。
④1日中大荒れの天気で回復しないようなら、やむを得ず停滞。
③の場合は、涸沢経由だから、最悪午後になってから下山してもOKなので、多分④はないだろうと考えていた。

7/27 槍ヶ岳山荘(4:45)-大喰山(5:05)-中岳(5:30)-天狗原分岐(6:00)-南岳(6:10)-A沢のコル(7:50)-北穂山荘(9:05)-北穂山頂(9:15)-最低のコル(10:30)-涸沢岳(11:25)-穂高岳山荘(11:35)

5日目
3時15分に起床。濃いガスに覆われて、今にも雨が降り出しそうな状態。風も結構強く吹いている。迷わず①をあきらめ、②の吊尾根~前穂~岳沢で下山することに決定。最終日のジャンダルムを楽しみにしていたが、仕方ない。
5時過ぎに穂高岳山荘を出発したが、いきなり奥穂への登りで渋滞していた。天候は更に悪化し始め、奥穂の手前で雨が降り始めた。そして、吊尾根を1/3くらい過ぎたあたりで、雷が鳴り始めた。逃げ場のない吊尾根での雷は、かなり怖かった。ビバークしたり引き返すことも考えたが、既に吊尾根の1/3あたりまで来ていることと、おそらく天候が回復するのに時間がかかるだろうと考え、急いで下山することにした。雷が鳴り響き、強風と叩きつけるような雨の中、前穂には登らず岳沢を下り、3時間くらいで上高地に着いた。


岳沢への下り道は、大雨が集まってほとんど沢を下るような状態で、登山靴の中にたっぷり水が入っていた。登山靴ではなく沢靴でもいいくらいだった。
上高地に着いたのが9時20分ごろ。最終日は、今回の山行を思い出しながら、ゆっくり余韻に浸りながら下ろうと思っていたが、とてもじゃないがそんな余裕はなかった。一刻も早く下山して雨と雷をしのぎたかった。新島々駅までバスで行き、そこから電車を乗りついで塩尻の妻の実家に戻った。
街に下りたら、思いのほか寒かった。前夜から大雨が降って気温が下がったという。山も下界も一緒だった。
そして、シャワーを浴びて、つくばへの帰路へ。帰りもSA&PAを各駅停車でのんびりと。。

7/28 穂高岳山荘(5:10)-奥穂高岳(6:00)-前穂の分岐(7:05)-カモシカ立場(7:45)-岳沢小屋跡(8:15)-上高地(9:20)-バス停(9:40)


この5日間は本当に楽しかった。ジャンダルムに行けなかったのはとても残念だが、それでも充分満足できた。それにしても、昨年の夏の後立山縦走といい、今回の縦走といい、あまり天候に恵まれないな。さて、来年の夏はどこに行こうかな。。

余談ですが、今回の山行の直前にphenixのデオシームの上下の下着を買って着て行きた。その効果は絶大だった。今までは、日帰りの山行でもツンとくる嫌な匂いが気になることがあったが、今回の5日間の山行では一度もその匂いがしなかった。デオシームおそるべし。

それから、今回の山行は、当初高瀬ダムから烏帽子岳に取り付くのではなく、扇沢~針ノ木雪渓~七倉小屋泊~烏帽子岳とすることを検討していた。しかし、そうすると日程的に厳しい為、1日短くて済む高瀬ダムからのコースを選んだ。偶然にも、そのコースで縦走するKという青年に、初日の烏帽子小屋のテン場で一緒になった。彼は大阪から来ていた29歳の自由人であった。普段はクライミングを中心に活動しているそうだ。それ以降、一緒に行動したわけではないが、毎日テン場で親しく話したりした。最終日の朝に、穂高岳山荘で別れたが、彼はあの後、どのように下山したのだろうか。。ちょっとした山での出会いだったが、数日間同じ行動をとっていたので、非常に気になる。

コメント

  1. 私は昨年9月に新穂高→双六→槍→焼岳→新穂高という周回ルートを歩きました.9月だと雪が薬にするくらいしか残っていませんでした.もうちょっとあったほうがいい景色になると,MASAさんの写真を見て思いました.
    今年の夏山は日帰りの早池峰山1回のみで,今後も12月くらいまで暇無しです.私の分まで山に登ってください(って言われても困りますよね).

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