5月3-5日 涸沢ベース、北穂

ゴールデンウィークは涸沢、北穂へ行ってきました。



涸沢から見る北穂 雪崩の跡が生々しい





はじめて山行報告させていただきます。ラリグラスには入ったばかりで、初めての山行です。今回のメンバーは入会したてのS、Kと、ベテランのYさん、Oさんの四人。私たち二人は雪山は初めてで、特に知識も技術も未熟で、お二人にご指導いただく形となります。ゴールデンウィークの涸沢といえばミーハーの私にとっては憧れの地でした。そんな初心者目線からの報告となりますので、ご了承くださいませ。


5月2日(金)夜10時出発。平湯へ。駐車場のゲートがあくのが4時、仮眠をとって、いざ上高地へ。
と、その前に、Oさんよりパッキングのご指導。4人で行くのに共同装備でかぶっているものがあり 、荷物持ちすぎがまずNG。あれもいらない、これもいらないとどんどん荷物が少なくなっていきました。そしてビニールパッキングになっていなかった点もNG。服やシュラフはぬれて使えなくなったら致命傷です。必ずビニール袋に入れるように、とご指導いただきました。

さて、上高地につき、朝ごはんを食べて、河童橋で記念撮影。いよいよ出発です。上高地も朝は空気 がひんやりしていましたが、横尾までは除雪されており歩きやすく、もくもくと進みます。横尾をすぎ、屏風岩をまいていくと、といよいよアイゼンの出番。またゴールデンウィーク前になだれもあっ たと聞いた登山道は、右から左からなだれのあとがあり、デブリが目の前に。そこでビーコンも装着。見るも触るも初めてです。Yさんにつけていただいて、ちゃんと鳴るかどうかも確認。これで埋もれてもばっちり!です。


横尾にて


涸沢ヒュッテについたころには小雪もちらつきはじめたので急いでテント設営です。雪の上にテントをはるのがこれまた初めて。スコップで軽く掘って平にならして、入り口部分に段差をつけます。テントを組み立ててフライシートをはって、竹ペグを埋めて完成。あっという間にできあがりです。


待ちに待った夜御飯はOさん作のたきたてごはんにレトルトカレーです。アルファ米しか知らなかっ た私たちにとって炊き立てのごはんのおいしさはまさに感動でした。


初日は移動による寝不足と疲労で食べ終わったらすぐさま就寝です。雪の上で眠るのは初めてで、スリーシーズン用の寝袋しかなかった私はさらに寒がりときているため、夜が少し不安でした。その分ありったけの防寒具を着て、さらにYさんのあったか足カバーと、Oさんのインナーシュラフをお借りしたところ、寒さで眼が覚めることはなく、ぐっすりと熟睡することが出来ました。なんとかなるものです。

次の日は、奥穂に登る予定でしたが、天気があまりよろしくない様子。さらに昨日からの雪の積もり具合では、なだれの危険性もあるため、慎重に判断。周りでは出発して登り始める組が多く、そこまで雪は積もっていないとのこと。朝食をとっているうちに天気がよくなってきたこともあり、北穂に登ることに決定。朝ごはんをしっかり食べて体も温まり、昨日からのストックをピッケルに持ち替え、いざ、出発!!と、その前に、ここでもY教授のご指導。120センチのスリングを使ってシートベントという結び方で簡易ハーネスの作り方を教えていただきました。ロープはくだりのときに使う予定でしたが、上では状態が悪いことが多いので、先に下でつけておくと上での準備がスムーズになるとのこと。

最初のうちは涸沢のテントが小さくなっていくのがうれしくて、調子よく登っていきました。だんだん急になるにつれて、ペースがゆっくりになっていきます。下を見ると落ちてしまいそうなほどの高さ。すると下のほうに救助のヘリコプターが飛んできました。滑落した方がいるらしい、と様子を見ていると、ピックアップしてあっという間に飛び去っていきました。登っているそばに目をやると、血の混じった滑落跡が。恐怖が増したのはいうまでもありません。登りといえど下を振り返るとくらくらする高さ。慎重に足をけりこんでなるべく足元だけ見て登っていきました。


天気がよいので、今日はきっと槍も見えるだろうとのこと。何せ去年の夏に奥穂に登ったときは何も見えなかったので、景色が拝めることが何よりの楽しみ。それを支えに一歩一歩前に進みます。ようやく北穂の頂上に到着。言われたとおりの絶景にひたすら感動です。雪山でこんなに急で高い山に登ったのが初めてだったこともあり、達成感もひとしおでした。思わずみんなとハイタッチ。もちろん槍ヶ岳も見えました。




全員元気に登頂


北穂高小屋にて大休憩。景色を堪能しながら越冬なっちゃんを飲みみんなで一息。しかし、登ってきたところはくだらなければなりません。登りはなんとか足が出ても、下りこそ恐怖のピーク。滑落したらと思うと足がすくみます。そこでYさんのロープの出番。小屋でロープの準備をし、頂上でハーネスに結びつけて完了。このロープがあるのとないのとでは精神的に大違いです。これで滑っても止まる、という大きな安心を得て、くだりスタートしました。最初のうちはおっかなびっくりでしたが、Oさんにくだりの足の出し方の指導。ピッケルを前のほうにさして、アイゼンをなるべく横よりもたてにして歩き、さらにOさんが先頭でステップを作ってくださったので、なんとか下っていきました。途中足元がくずれて、(雪がくさっている状態だそう)ずるずると落ちてロープのおかげで助かるというシーンもありました。。。


下のほうまでおりてくればあとはシリセードです。ピッケルをうまく使って、おしりですべっていくのはかなりの楽しさ!あっという間に涸沢小屋です。そこでロープもほどき、アイゼンもはずし、開放感と安心感につつまれ、ついついビールで乾杯。Yさんはソフトクリームでした。おでんをつまみに飲んだビールのなんとおいしかったこと!そのあとはテントに戻ると、Oさんがワインを買ってきてくださって、プチ宴会モードに。とっても楽しい一夜でした。もちろんその日も寒さに邪魔されずにぐっすりです。


槍ヶ岳が見えた!



最終日は5時起床。この日もお天気はとてもよく、おりるのが名残惜しくなりました。雪上訓練をしたかったのですが、このあとのくだりを考えると、下山しようということになりました。Oさんのミッキーマウス歩きの指導のもと、ざくざくとおりていきます。途中でアイゼンをはずし、ビーコンをはずし、少しずつ雪とおさらばです。だんだんさみしくなっていきます。

1時ぐらいには上高地に着いたでしょうか。気温も上がり観光客も多く、下界におりてきたんだなあとしみじみしました。帰りは平湯温泉につかって疲れをいやします。Yさんおすすめの生わさびが自慢のおそば屋さんにも寄りました。(すりたてのわさびは野菜感覚でおいしい!)帰路につく車の中では無論ぐっすりねむりこけてしまいました。

初めての雪山ということもあり、わからないことだらけだったり技術不足だったりで、YさんとOさんにはたくさん助けていただきました。お二人がいなければ新人の私とKだけでは難しかったと思います。この場をお借りして、本当にありがとうございました。技術を身に付けることの大切さを痛感しました。雪山は危険もたくさんあるけれど、きちんと技術を身に付けていけば最高に楽しいことがわかりました。下山して思うのは、やはり、また行きたい!!という気持ちでした。
                                                      (A.S記)

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